KING-2
逝く前に大人しく幽閉されることが利口な選択ですよ。
あなたにはその選択が難儀なようですが。
幽閉を止めるなんて、そんなの知りません。
勘弁して?なんて残忍なのでしょう。
人は皮肉を含んだ哀れみの言葉を一欠片投げかける。
誰もが無機質に同じ言葉を。
この先の世未来を楽しみにしている
誰にも先の見えない、初の試み。
「お願い事はないのでしょうか?」
あなたはこれをやめてくれ、愛しているとほざいている。
警告したはずでしょう?
「逆にあなたにお願いしたいことがあるのです」
緊張の面持ちで見つめる元々のあなたの臣下たち。
左にも右にも
あなたに嫌気が差す臣下しかいないのです。
異国から嫁いだ私に支持が集まるだなんて、なんだか照れ臭いものですね。
左にも右にも
あなたを許すことができない臣下しかいないのです。
「あなたは王なのです」
この国に来た私と、無邪気に私と遊んでいた許婚のあなた。
私が笑えば、あなたの痛みが消えるのだと話していたのを覚えています。
無様に死んでいけるでしょう。その記憶さえないのでしょうから。
助けてくれと泣いて叫んでも私にはすでにできることは残されていないのです。
「助けて」とあなたはいつもお願いをしてきました。
愛していないのに、私を選択することは警告の一種だったのかもしれませんね。
「逆にあなたにお願いしたいことがあるのです」
緊張の面持ちで見つめる元々のあなたの臣下たち。
左にも右にも
あなたに嫌気が差す臣下しかいないのです。
異国から嫁いだ私に支持が集まって、あなたは「荷物」でしかないのですよ・
左にも右にも
あなたを許すことができない臣下しかいないのです。
「あなたは王様。」
今はまだ、この国の王に違いないのです。
幼い頃に嫁いできた異国の姫。
精神的に幼く、無能な夫。
身勝手な夫の政策に、限界だった軍部。
「私があなた方を導きましょう」
そう言った王妃の言葉を、うけいれぬ者はいなかった。
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エカチェリーナ2世が大好きなんです。
今回の王妃は彼女をモデルとさせていただいています。意図せずともそうなってしまいました…。
このお話はただの私の妄想であり、フィクションですが。
彼女は異国に嫁ぎ、努力によってその国の女帝に君臨しました。
異国の王妃が国民や軍部に受け入れられたのは、血よりも現実を取った国民の正しい選択だったのではないかと、私は思います。
彼女の夫ピョートルがそのまま王であったとしたら、どのような未来があったのでしょうか。今となっては誰にもわかりません。