桃瀬かりんの徒然台詞

思うがままに、のんびりお話を書いてます。

僕の正義

あの子は、クラスで孤立していた。

何をしたわけでもない。ただ、周りの「好奇心」から対象になってしまった。

「助けてくれて、ありがとう。」

休み時間の屋上で、いつものようにあの子は笑った。

ずっとずっと耐えていたあの子。助けることが正義だと、僕は思っていたんだ。

 

いつもの屋上。彼女は笑ってこう言った。

「ありがとう、また助けられちゃった。」

 

予鈴がなって僕と別れた後、あの子は屋上から飛び降りた。

 

あの言葉が、僕があの子から聞いた最後の言葉だった。

 

僕は知ったんだ。

あの子と出会ったあの日、飛び降りようとしていたって。

遺書が見つかった。かなり前の日付で。

その下に、書き足されていた言葉。

「ごめんなさい」

 

あの子が見た最後の人間は、きっと僕だった。

 

僕があの子を助けたと思っていたけど、違ったんだ。

僕は、あの子を苦しめていたんだ。

今になって気づいた僕は…

 

あの日僕が助けたあの子は、やっと、少し、楽になったんだ。

やっと、楽になることができたんだ。

あの日の楽になる選択を、僕が奪ってしまった。

 

ーーーーーー

 

あの子が落ちた。

僕は、次の対象になった。

今、ようやく、あの子の気持ち、少しわかった気がしたんだ。

 

あの時だってきっと、わかってあげられたはずなんだ。

いや、わかってあげたかった。

わかってあげないといけなかったんだ。

 

あの子を苦しませてしまったのは、僕だったんだって。

 

そう思えた時にはもう、目の前の君はもういなかった。

 

君に会うことは、できない。

謝ることも、できない。

本音を聞くことだって、できない。

 

君は本当に僕のそばにいたのだろうか。

いや、「最初から居なかったんだ」

 

屋上の上で、僕は笑った。

あの子は、いなかった。最初からいなかったんだ。

そう、思えたらどんなに良かっただろうか。

 

そばに行くことができたら、謝ることが、できるだろうか。

 

 

 

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「ありがとう、また助けられちゃった。」

あの子から聞いた最後の言葉だった。

あの子が見た最後の人間はきっと僕だった。

僕が助けたあの子は、少し楽になったんだ。

 

 

あの子の気持ち、少しわかった気がしたんだ。

わかってあげられたはずなんだ。

わかってあげたかった。

そう思えた時にはもう、目の前の君はもういなかった。

いや、「最初から居なかったんだ」

 

 

上記太線文章は、ライブ配信 で読ませていただいた台詞となります。

作者様:たー様

 

 

「僕の正義」続?編

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