桃瀬かりんの徒然台詞

思うがままに、のんびりお話を書いてます。

A-file.1 『もうそれだけで私幸せだ』

柔らかな日差しが真っ白なカーテンの隙間から差し込み、

 

窓のそば横たわる彼女を暖かく包んでいる。

 

私の手を握る傷だらけの彼女の手はとてもか細く、

 

今にも折れてしまいそうだった。

 

幸せってなんだろう?彼女は手を窓から差し込む光に向かってもう一方の手を伸ばし、ポツリと呟いた。

 

どうだろうね、と私は返す。

 

でも、あなたが今ここに生きていてくれることが私の幸せだよ。

 

彼女は瞳に涙を浮かべ私を見る。

 

ああ…『もうそれだけで私幸せだ。』

 

私の頬に手を伸ばしそう呟くと、静かに目を閉じた。

 

 

2019/05/22 執筆

2019/12/03 再掲

 

これは、「もうそれだけで私幸せだ」の短文より連想された文章です。