桃瀬かりんの徒然台詞

思うがままに、のんびりお話を書いてます。

桜の約束(女性2人台本)

人物

・千歳莉亜(ちとせりあ)

・千歳莉亜(幼い頃・セリフは1つ)

・千歳未亜(ちとせみあ)

・千歳未亜(幼い頃・セリフは1つ)

・ニュース(セリフは1つ)

 

概要

千歳莉亜

 └双子の妹。幼い頃から未亜と一緒に物語を書く。未亜を庇って事故に遭い、そのショックで文字が読めなくなる。罪悪感を持つ未亜に対して少しイライラしている。

「私は、あなた(未亜)を殺し(かけ)た」

 

千歳未亜

 └双子の姉。幼い頃から莉亜に励まされて小説を書く。事故の件をずっと引きずっていて、幼い頃の約束を守ろうと、必死に物語を描き続けついに文学賞を受賞。

「私は、あなた(莉亜の文学者としての命)を殺した」

 

「」内は心の声

 

 

 

 

莉・未『私は、あなたを殺した。』

 

莉亜 かんぱーい!おめでとう大先生!

 

未亜 大先生はやめてよ…

 

莉亜 いやいや!…あーあ。まさか未亜に先を越されるなんて

 

未亜 まさか私がこんな賞いただけると思ってなかったもん…

 

莉亜 またそんなこと言って!自信持ってよ!認められたんだよ!?

 

未亜 だって、この賞をもらうべきは、本当はっ!あのとき私が…

 

莉亜 …その話はすんなって何度言えばいいの?

 

未亜 っ…ごめん。

 

莉亜 わかればよーし!さあさあ飲んで飲んで!今日はお祝いなんだから!

 

未亜「私たちは、双子だ。比べられることはもちろん多くって色々苦しいこともあったけれど、2人で一緒にお話を考えることがすごく楽しくって、いつか大きな賞を取って、2人で本を出すんだって大きな夢をもったっけ。」

 

莉亜「2人で同じ賞に応募して、いつも2人で1番2番を争って、その夢は着実に実現に向かっていた…はずだった。」

 

未亜「私があのとき前を見ていれば、たったそれだけで、叶ったのに」

 

莉亜 …はぁ食べた飲んだ!おなかいっぱーい!   

「私は、酔ってフラつく足で階段を降りながらちょっぴり膨れたお腹をさすっていたんだ。」

 

未亜 ねえ、莉亜。

 

莉亜 ん〜?なに未亜。もしかして飲み足りない!?2軒目いっちゃう!?

 

未亜 もう酔ってるんだからそれはダメ。そうじゃなくて

 

莉亜 ええ!ひどーい!酔ってないもん!

 

未亜 あのね莉亜。あの日はごめんなさい。この賞は本当は莉亜が…

 

莉亜 あのさ、もうやめてって言ってるよね。なんで何度も何度も言うの?   

「私は、お酒が入っているのもあって少しイライラしていた。」

 

未亜 だって、あのとき私がちゃんと確認していればっ!!!あなたが私を庇うことなんてなかったっ!!   

「苦しかった。私のせいで莉亜が事故にあった。私のせいで、私のせいで彼女は書けなくなった。」

 

莉亜 うっさい。ねえ、なんなの?私が書けなくなったのは私の力不足。自分だけ賞を取ったからって私のこと憐んでるの?

 

未亜 ちがっ…ねえ!なんでそんなこと言うの!?私はずっとずっと莉亜の書く物語が大好きでずっとファンだよ!!   

「私は莉亜の腕を掴んで、首を振った」

 

莉亜 うるさい!今も書けない私にそれを言うの!?もうしつこいんだよ!   

「私は思いっきり莉亜の手を振り払った」

 

未亜 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

莉亜 「気がついたら今まで私の後ろにいた未亜が、階段の下に転がっていた」     未亜!!未亜!!!!    

「もう、さっきまで酔っていたのなんて忘れるくらいに、無我夢中で未亜の名前を呼び続けた…」

 

莉亜 「未亜の命は助かったが、ずっと目覚めない。警察は事故として処理したと言っていたけれど、世間はそうではなかった。」

 

「妹が突き飛ばしたんじゃないの?」

「ありそ〜…ずっとライバルだったていうじゃん?」

「なのに最近全然書いてないんだって」

「才能に嫉妬したんじゃないの?」

 

莉亜 「その通りだ。何も言えない。私が未亜を突き落としたも同然だ。あの日、あの事故のあった日。未亜を守れたらそれでよかったのに。」     

ねえ…早く目を覚ましてよ。早く起きて私のこと殴るなり罵倒するなりしてよ…

 

ニュース 「次のニュースです。先日文学賞を受賞した期待の新人、千歳未亜(ちとせみあ)さんの受賞コメントが、先ほど発表されました。彼女は先日事故に遭い、現在も意識不明の重体とのことですが、事故に遭う数日前に編集部に預けていたとのことです。」

 

未亜「この度は、このような大きな賞をいただけたこと、とても光栄に思います。もしも私に何かあったら、この文章を公開していただければと思いこうしてつづらせていただくことにいたしました。 このお話は、私と私の妹との思い出からできているようなものなのです。私と妹は、幼い頃からお話を書くことが大好きでした。ずっと一緒に物語を書いて育ちました。私がもうやめたいと思ったときにはアドバイスをくれたり、励ましてくれたり、私を支えてくれたんです。妹がいなければ、私はとうの昔に書くことをやめていたでしょう。そんな彼女は、10年前私を庇って事故に遭い、その影響で文字が読めなくなりました。ショックを受けた彼女は、最近までお話をかくことができませんでした。私が彼女を殺したも同然だった。だから私にできることはなんだろうって考えて、彼女からもらったもの全てでお話を書こうと決めたんです。そうしてできたのが今回賞をいただいた「glow」。もし彼女がまた書こうと思ったときに、私が落ちぶれていたらいけない。その一心で書きました。いつか妹と本を出すと言う夢。その頃から変わりません。いつか絶対実現させます。どうか、私たちを暖かく見守ってください。」

 

 

莉亜 「未亜のコメントが発表されてから、私にたくさんの取材の話が来た。そこで昔の出来事を話すたびに、また、書きたいと心から思ったんだ。」     

 

未亜、私もまたお話を書いてみようと思うんだ。不器用だけど、それができたら、読んでくれる…?    

「私は今日も手を握って話しかける。もう2度目の桜が散った。時が経つのは早いな…と窓の外を眺めていると、未亜の指先が微かに動いた」     

未亜!未亜!?

 

未亜 …莉亜、おはよう。

 

莉亜 おはよう、じゃないよ!馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿!!!

 

莉亜(幼) ねえ!あのおっきな桜の木!あの木に誓おう!

 

未亜(幼) うん!いつか絶対に2人で本を出すの!

 

莉亜 あのとき誓った桜は、まだあの場所にあるだろうか。

 

未・莉「桜の散る日、私たちは、生かされた。」

 

 

 

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まとまり悪くってすみません。

こんな姉妹いたらいいなぁと思って、願望を形にした感じです。

大切な人との約束は、ずっと忘れないのかなかぁ。